仕上がりがみえてきた
(仮称)井の頭の家の敷地は、第一種低層住居専用地域、建蔽率40%という法的制限の上に、敷地形状が細長く、容積的には中々厳しい条件でした。また、南面が当初空き地で、今後どのような建物が建つかわからないという状態でした。限られた容積をうまく使いつつ、生活の重心を考えながら心地よい居場所をどう作るか、ということがとても大切なことでした。
まずは配置。南面の空き地に建つ建物が法的にMAXで建てることを想定し、こちらの配置とボリュームを検討しました。結果、建物を少しくびれさせて中庭を作ることにしました。現在ではその空き地に家が建ちましたが、このくびれた中庭が上手くいって日中はとても明るいです。この家の居室は全てこの中庭に面しているので、どこにいても家族の気配がなんとなく感じられます。
内部のつくり方は、例えばキッチン周辺では多くの時間が立ち作業になることとその動線を考えて、対面の住宅街の目抜き通りが見えるような位置に配置し、開口を設けています。一方でダイニングの出窓は置き家具に合わせて重心を低めに設定。40㎝くらいの高さに腰かけて生活することを想定し天井の高さや梁の架け方、開口の位置や大きさを模型とCGを作り、何度も検討しました。
なかなか仕上がりのイメージが見えてこなかったのですが、ようやく形が見えてきました。
うまくいっていると思います。
引渡まであと2カ月弱。難しい工事を意見を聞きながらやってくれる監督と職人さんに感謝です。
キッチンからダイニング方向をみる。キッチンの天井は台形平面に円形天井なので地味に3次曲面。大工さんのために原寸図描きました。
ダイニングの出窓に腰かけキッチンをみる。右側の大きな開口が中庭に面している。外部だけど内部みたいな中庭。写真は夕方ですが、日中はとても明るい。
2階の天井は一番低いところは斜線でおさえられて1600mmくらい。北側の敷地が旗竿だったのである程度の通風と採光が見込まれたので、この低い部分を思い切って歩行空間に。180㎝くらいまでの人なら問題なさそう。奥には寝室。間仕切りにポリカをはめ、天井は連続する。